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"Southern Counties チャンピオンシップショー観戦記" 杉本 武巳

今年3月のクラフト展に続いて、5月の末に仕事で再びイギリスに行く機会がありました。運良くロンドンから比較的近い場所でチャンピオンシップショーがあり、それを一日見学をしてきましたので、その報告をいたします。
そのチャンピオンシップショーはロンドンから西に電車で約1時間、 Newburyという小さな町で開催されました。 Southern Counties Canine Association主催のオールブリードショーで30日(金)と31日(土)、そして6月1日(日)の3日間にわたって開催されました。総出陳頭数は8,597頭。地方の田舎町で開かれるショーですが、その規模の大きさには驚かされました。ただ、エアデールの出陳頭数は36頭と少なく、正直少しがっかりしました。

テリアグループは31日の土曜日でした。この日はとても暑く、気温は30度近くありました。犬たちにとってはとても良いコンデションとはいえませんでしたが、やはり日本と違って湿気がありません。抜けるような青空に下で、ショーは進められました。
下の写真をご覧下さい。会場はとても広い芝生広場に設けられ、そこに巨大なテントを何張りか張られています。そのうちの一つがメインリンクとして使われ、それ以外は出陳者の為のパドックとして使われます。メインリンク以外に30ものリンクがアウトドアにあり、これらは全て綺麗な芝生広場の中に設けられていました。とにかく会場はゆったりとした雰囲気で、綺麗で、あちらこちらで見学者はもちろん、出陳者たちもゆっくりと日光浴を楽しむ姿も見受けられました。

前回のクラフトの時もそうでしたが、今回もまた犬と人間の関わり方、ショーの楽しみ方に関して、日本とイギリスとの違いについて考えさせられました。やはり“歴史の違い”と“文化の違い”ということなのでしょうか。出陳者の大半はオーナーハンドラーで、しかもあくまでも趣味(ホビー)として楽しんでいる人たちです。そして、犬の扱いがとても上手い。年輩のご婦人が、見ていてもとても自然な形で、無理なくハンドリングをしているのです。
彼らの多くは、もちろん勝ち負けにはこだわりますが、それ以前に“エアデールが好き”でショーというものを“純粋に楽しんでいる”のです。

会場風景
パドック風景1
パドック風景2

自分の手で育て上げた自慢の愛犬たちを友人達に披露する場としてショーが有り、友人達との会話を楽しむ社交の場としてショーが有るのです。このような雰囲気の中で一日過ごすのは、実の楽しいものです(この点に関しては、私たちのクラブも同じですね)。

さて、話を本論に戻しましょう。エアデールのショーは10時からNO25リンクで開催されました。私が駅からタクシーをとばして会場に着いたのが9時30分頃頃だったと思います。30分間ほどパドックで我が家のMaple の実家のJaideld犬舎のAlaine&Martin夫妻や、Jokyl犬舎のMary、Stargus犬舎のLesleyらと挨拶を交わした後、  Alaineと一緒にリンクへ行き、ゆっくりとショー見学をしました。
ショーの進行は、牡のパピー、ジュニア、ポストグラジュエイト・・・・・、牝も同じく、パピー、ジュニア、ポストグラジュエイト・・・・・と行った順で進められます。

クラフト展と比べれば3分の1と、数は少ないですが、出陳犬はいずれも粒ぞろいで、競合がひしめき合っています。今回の審査員はフランスからの招待審査員で、ハンドラーの“顔”で順番を選ぶような事はなさそうです。年間20回近くあるチャンピオンシップショーの中で、なかにはいわゆる“犬を見ないで顔を見る”ような審査員もいるという話もあります。
 ショーの進行は皆手慣れたもので、実にスムーズです。約2時間ほどで牡牝の比較審査が終わり、ベストドッグ決定、ベストビッチ決定、そしてBOB戦、ベストパピー戦と進んでいきます。牡牝のベストを選ぶの方法は、ATCJのそれと同じで、各クラス一席犬の中での戦いとなります。横一線に並んだ粒ぞろいの犬たちを見るのは、何回見ても楽しいものです。

最終的にベストドッグは我が家のMapleの年下のおじさんにあたるジェイドルド犬舎のルーサー(Jaideld Warpath Warrior)、リザーブベストドッグにはスターガス犬舎のStargus Garileoが、ベストビッチにはジョッキル犬舎のGarland Sweet Carolin Jokyl、リザーブベストビッチには同じくジョッキル犬舎のJokyl Sweet Virginiaがそれぞれ選出されました。
そしてその後で牡のベストと牝のベストが戦い、結局Jaideld Warpath Warriorが見事今日のBOBに選出されました。尚ベストパピーにはJaymitch Saffon Noir by Magwyrが選ばれました。 
このエアデールのBOB戦が終わった後はグループ戦です。各グループ毎(テリアグループ、ハウンドグループ・・・)BOBを獲得した各犬種の代表犬が集まり、その中での比較審査を行います。このグループ戦は夕方から始まります。

BOB犬 ルーサー(Jaideld Warpath Warrior)
左Branded Double Trouble、右Jaideld Gypsy Lady Luck
左BOB犬Jaideld Warpath Warrior、
右BOS犬Garland Sweet Carolin Jokyl

今回もクラフトの時と同じように、ランチは各自持ち寄りで、軽食とワイン、よく冷えたビール、コーヒーなどが即席のテーブルの上に所狭しと並びます。そして気のあった仲間同士話が弾みます。1時頃から始まったランチが一段落して、それぞれ皆適当にバラバラと解散してゆきます。最後まで残っていたのはMaryとBrandedのDavidだったと思います。3時半頃には、Jaideldの AlaineとMartinと私だけになりました。私は4時半頃から始まるテリアグループ戦まで、ショッピングをゆっくりと楽しむことができました。

この日、テリアグループ戦は14種類のテリアによる戦いとなりました。いずれもすばらしい犬たちです。どれが勝っても全然おかしくありません。結局、この日グループ戦を制したのはケリーブルーテリアでした。ルーサーは残念ながら入賞ならずでしたが、Martinは満足していたようでした。彼による、なかなかエアデールでグループ戦に勝つことは難しく、年間でもそれほどあることでは無いとのことです。

グループ戦を見ていて感心したのはハンドラーの顔ぶれです。14人いる中でプロハンドラーは数人程度で、ほとんどがオーナーハンドラーということです。日本や米国ならこの比率は全く逆になります(ATCJは別ですが)。まさしく私たちのクラブの求めるショーの理想像がここにあり、といった感じでした。

この日一日、天気にも恵まれ、そして我が家のMapleの親戚のルーサーがBOBを獲得して、とてもラッキーなすばらしい日となりました。一日面倒を見てくれたAlainとMartinに感謝します。ありがとう!!

リミット牡 一席犬 Stargus Garileo
BOS犬Gariand Sweeet Carolin Jokyl
ジュニア牝一席犬Tintara Beguine
審査風景
テリアグループ戦入賞者たち
ルーサーとベトリントン