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テリアをショーイングしている人なら一生に一度は出陳してみたいと考えるのが米国フィラデルフィアで毎年10月に開催される世界最大のテリアの祭典モンゴメリー展です。今回はエアデールテリア界で米国のみならず世界的にトップブリーダーとして認知されているJoval犬舎のDr. ValeriaRicardの協力と、ラルフ(CH. Wilderness ZodiacLegend)のオーナーの学校法人シモゾノ学園の下薗惠子理事長の計らいにより、幸運にもラルフを連れてのモンゴメリー展出陳の夢が実現しました。
少なくても私の記憶では、エアデールテリアで日本の繁殖犬がモンゴメリー展に出陳するのは長い歴史においてラルフが初めてのことです。本当に名誉なことで、Valeriaおよび下薗理事長には感謝の気持ちでいっぱいです。
以下にアメリカ滞在の21日間を日記形式にして書き出してみました。

成田空港を出発して予定通りアメリカワシントンDC着。人間の方の入国手続きは時間がとてもかかったが、ラルフの入国は実に簡単だった。検疫はノーチェックで、日本で時間をかけて用意したラルフの入国用の書類を見ることもしない。実に拍子抜けで、ラルフをバリケンに入れたまま、手荷物と一緒にそのまま迎えに来ていたJohnの待つ到着ロビーへ直行した。

ラルフは生まれて初めてのフライトで、しかも12時間以上の長時間の長旅と、慣れない言葉、臭い等々、すべてが初めての経験で相当ストレスがたまったような様子だった。

成田空港の検疫所での手続き完了  

ラルフの精神状態は前日よりは良くなったが、フードを食べてくれないのには困った。午後からモンゴメリー展に出陳するJoval犬舎の3頭のエアデールとラルフのトリミングをした。
ラルフと一緒に3週間生活した部屋。左奥にベッドルームが有ります。左手前にバスルームが有ります。  


モンゴメリー展に備えてラルフとハンドラーである私の練習を兼ねて、Valeriaが日本のJKCで言うオールブリードのクラブ展に事前にエントリーをしてくれていた。ただ、クラブ展とは言っても、日本が200頭程の出陳頭数であるのに対してアメリカは1500頭〜2000頭、テリアだけでも200頭近くはいるのだからやはりスケールが違う。

この日のエアデールテリアの審査開始が11時からということで、家を9時50分に出た。エアデールは、Joval犬舎から2頭(グランドチャンピオンJoval It's My Time(Drew)とJoval Bedazzle My heart)の出陳。そしてラルフとチャンピオンオス1頭、オープンクラス1頭。まずオープンクラスでラルフともう1頭が戦った。結果はアメリカのショーになれない自分のせいもあり、ラルフの動きが悪くて敗戦。最終的にDrewがBOBを獲得した。

Warrenton Kennel Club Campionship Show  

今日のショーは、エアデールテリアの審査開始が10時だったが、8時半からValeriaがシュナウザーの審査をするために7時15分に家を出た。ショーの主催は変わるが、ショー会場は昨日と同じところで開催された。

今日のエアデールテリアの出陳はJoval犬舎からの出陳がないため(Valeriaが審査員のため)オスはオープンクラス2頭のみ。ラルフの相手は昨日負けた子で、結果はラルフの勝ち。自分も昨日の経験でアメリカのショーの要領が少し分かり、それがラルフに伝わったのか、ラルフの動きは比較的良かった。アメリカで初のBOBと1ポイントの獲得であった。
審査員と一緒にBOBの記念写真を撮ろうとしたが、ちょうどハロウィンの飾りつけに剥製の狐が 3頭いて、ラルフはそれを見てビビッてしまい撮影は断念。残念。

帰宅は3時過ぎ。ラルフはショー会場で買ったおもちゃでご機嫌に遊ぶ。少し気がまぎれた様子でよかった。
家で少し一休みしてからショッピングモールにValeria、John、Oliviaと私の4人で買い物に行った。買い物は一週間分の食料の大量買い出しと、夕食のピザを買って帰宅。ラルフにはササミとチーズを買った。帰ってからそれらをラルフに与えたら完食した。

Old Dominion Kennel Club of Northern Virginia Championship Show アメリカ初BOB & WINNERS  

月曜日はValeriaもJohnも朝早くから仕事に出た。二つの動物病院を経営するValeriaやコンピューター関連の仕事をしつつ、動物病院の経営もマネージメントしているJohnのウイークデイはとにかく忙しい。帰りも遅い。言い忘れたが、現在Joval 犬舎には18頭のエアデールがいて、そのうちの4頭はリビングダイニングに常時いて、寝るときは彼らの寝室に。残りの14頭はケンネルにいる。
11時ごろからモンゴメリー展に向けてラルフのトリミングをした。終わったのが4時。遅めのランチの後にラルフと少し散歩して昼寝をした。午後7時半過ぎにValeriaが帰宅。Johnは二つの病院の事務処理でいつも月曜日の帰宅は遅い。

火曜日は、午前中は会社の仕事をして午後1時間ほどラルフのトリムをした。3時にレンタカー屋さんが私を迎えに来て、一緒にレンタカーを取りに行った。生まれた初めてのアメリカでの運転、 しかも一人で。最初はGPSの言うことが分からず、道を何回も間違えて、結局1時間(ふつうは30分の距離)かけて何とか帰宅した。

自宅のデッキからの素晴らしい景色 日頃はリビングでしっかり家庭犬をやっている現在全米NO2のDrew(GCH Joval It's My Time)

いよいよモンゴメリー展に向けて出発の日。当日は午前中準備をして、お昼過ぎにValeriaのリーズバーグの病院に立ち寄り少し用事を済ませ、そのまま北に向かって出発。彼らのモーターホームの後をついて走り、途中彼らと別れ、自分だけヘホテルに向かう。ホテル到着は6時ごろ。日本から応援に来てくれた亀田さんとデンバーに住むフィンリンさんの到着を待って一緒に食事し、帰りにスーパーマーケットに寄り、自分の朝食とラルフの食べられそうなものを調達。ラルフには牛のステーキ肉とクッキー、チーズを購入した。

ホテルではイギリスのジェーン&ローランド・ターナー夫妻、オーストラリアからアン&ロン・ サラガン夫妻、カナダからマーガレット・ザルツマンといった懐かしい顔ぶれが同じホテルに宿泊していて、みんな親切に私たちたちを迎え入れてくれた。ラルフを見て誰もがとてもいいエアデールだと言ってくれたのは嬉しかった。

JOVALのモーターホーム  (向こうのバンが小さく見える) リーズバーグの動物病院

いよいよ今日からモンゴメリーウイークエンドの始まりです。オールブリードショーのハットボロー(Hatboro)が2日間、デボン(Devon)が1日、そして最後の日曜日にテリアだけのショー:モンゴメリー展が開催される。

ハットボロー1日目はホテルから会場まで約1時間の距離。エアデールは8:30スタートのためホテルを6時に出た。7時過ぎにショー会場に到着。すぐグルーミングの準備をしたが時間はぎりぎりだった。エアデールの出陳頭数は65頭。ラルフはオープンクラスで先頭。ショー最初で自分も要領が分からず、それがラルフにも伝わるのか、彼もすごく緊張状態で、歩様やプレゼンが最低の出来だった。明日に期待。

ハットボロー2日目、出陳頭数69頭:今日のラルフは少し緊張感も取れて、動きは悪くなかった。自分も要領が分かってきて少し余裕が出た。入賞はできなかったが、比較的ゆとりを持ってショーを楽しむことができた。3時ごろホテル着。

一日遅れてアメリカ入りしたラルフのオーナーの学校法人シモゾノ学園の下薗理事長と下薗利依さんも同じような時間にホテルに到着した。ラルフは二人を見て大喜び。部屋で遊んでもらったり散歩をしたりで、ラルフにとって久々のリラックスタイムだった。

夕方からはエアデールテリア・クラブ・オブ・アメリカ主催のパーティーに皆で参加した。パーティー会場ではアンさんやマーガレットが、スコティシャー犬舎で有名なキャロルスコットやペンエアー犬舎のジョアン・クラークなど紹介してくれ、一緒に写真撮影。楽しいひと時を過ごした。

ホテルの部屋で大喜びのラルフ ホテルの庭での散歩(下薗利依さん)
ホテルの庭での散歩(下薗理事長) ATCAパーティー会場(左後ろからキャロス・スコット(スコティシャー)、マーガレット・ザルツマンン(ヒューガデール)、アン・サラガン(オールドアイアン)、フィンリンさん、亀田さん。左前から私、下薗理事長、下薗利依さん)
デボン(Devon Dog Show:出陳頭数72頭)は予想通り午前中は雨。ラルフの出番の時が最悪の強い雨模様だった。ただ、今日のラルフは昨日より良かった、一日一日進歩の様子が見られた。
雨の中のデボン審査風景  

今日はいよいよ本番のモンゴメリー展。ラルフの仕上がりも上々。天気は快晴、でも気温が低い。8時半、スイープステークスがスタートした。出陳頭数は29頭、レギュラークラスの審査は10時スタート。出陳頭数は95頭。ラルフはいつも通りオープンクラス9頭のうちの先頭。審査員が話しかけてきた時にそれを怖がってしまい2,3歩後ずさりしてしまった。そのあとは立ち直り良くできたがアウト。4頭までの入賞ならず。でも、ラルフなりに良く頑張ったと思う。

そのあとは下薗理事長、下薗利依さん、ラルフと一緒にショー見学。BOBはCH Darling Lucy in the Sky with Diamonds。JOVAL犬舎からは今年はAOMのみだった。ただ、Valeriaはベストオーナーハンドラーとして表彰され、各犬種が集まったコンペティションに参加し、見事グループ2席になり表彰台に立った。
ショー終了後5時半ごろ会場を後にしてリーズバークまで車で移動。途中下薗理事長と利依さんをホテルまで送り、Valeriaたちが待つ自宅には
11時到着した。

今日の午前中は下薗理事長と下薗利依さんのJOVALケンネルの犬舎見学。その後、Valeriaは仕事に出かけ、我々はリーズバーグのアウトレットでショッピングを楽しみ、夕方はラルフとみんなで散歩をした。
その日の夜は200年の歴史のある建物のレストランで食事を楽しんだ。食事の後に、Valeriaの病院見学をした。
森の中の散歩 レストランでの会食

13日目の火曜日は朝から山のようにたまっているメールのチェックをして、あとは部屋の掃除。午後からラルフのトリムをして、夕方からSteffi(女の子)のトリムをする。

14日目の水曜日は朝散歩ラルフの散歩をゆっくりして、そのあと昼まで仕事。午後2時からSteffiの手つかずのジャケット部のトリムを夕方くらいまで行った。そのあとはラルフと部屋でゆっくり過ごした。

15日目の木曜日は朝ラルフの散歩をして少し仕事。お昼過ぎからラルフのトリミングとSeanという男の子のトリミングを4時くらいまでした。Valeriaから自分がいつもショー用にやっている通りにやってくれればいいと言われているが、コンディションも違えば好みも若干違うところもあって、なかなか人の犬のトリミングをするのは難しい。

アメリカ滞在もいよいよ終盤。今日から金土日と3日間ショーが続く。今日は9時45分出発。メリーランド州の会場へは1時間40分ほどの道のり。審査開始は12時30分にスタート。ラルフはモンゴメリー展のトラウマか、審査員の触診を嫌い、数歩後退。その後は立ち直りはしたもののポイント獲得はならず。ただ、審査員はとても美しい子ですねと言ってくれた。帰宅後、夕食の後でまたValeria のトリミングを手伝う。今日ショーに出陳したDieslという女の子のトリムをした。午後9時半にトリミング終了。

土曜日の今日は9時過ぎに出発。会場は昨日と同じ。到着後すぐにグルーミングをして審査開始。今日のラルフは昨日よりも幾分リラックス気味に見える。心配していた触診も今日は何とか無事に切り抜けることができ、オープンクラス1席を獲得し1ポイントをゲット。BOB戦ではJAVAL犬舎2頭とラルフの戦いになり、結果はGCHのDrewには負けたが、Dieslに勝ちウイナーズドックを獲得した。

いよいよ今日がアメリカ最後のショー。9時ごろに出発し、途中、Valeriaの病院に交配(人工授精)のため立ち寄った。この人工授精とは冷凍精子ではなくて、テキサスからワシントンDCまで昨夜運ばれてきたチルド精子を使ったもの。初めて聞く名前で、実際、どのようにするのか病院でみることができた。さすがアメリカという感じがした。成功率は85%(冷凍よりは良いとのこと)。

ショー会場には時間ぎりぎりでセーフ。大慌てで仕上げをした。今日の出陳は昨日と同じ顔ぶれで、ラルフはまたベストウイナーを獲得、1ポイントをゲットした。

いよいよ今日がアメリカ滞在の最終日。朝からお世話になった部屋の掃除をして荷物の整理。パッキングをした。その後ラルフの散歩。午後からJOVAL犬舎の若い女の子のトリミングをした。ラルフと一日のんびり過ごした。

フライトは12時20分。Johnの朝は犬たちの世話で大忙し。病院に行くValeriaとは7時半にお別れ。私とラルフは9時少し前に家を出て途中病院に立ち寄り10時にワシントンDCダレス空港に到着。そこでジョンと別れ出国手続きをした。
日本には予定通り15時に到着。手荷物を待つ間にラルフが入ったバリケンが運ばれてきていた。検疫も何の問題もなく通過。古市さんに迎えに来ていただき、駐車場で待つ間、ラルフを外に出したが13時間の疲れも見せず元気だった。こうして私とラルフの米国21日間の旅は終わりを迎えた。

21日間の間に出たショーは9回。そのうちラルフが獲得したポイントは3ポイント(15ポイントでチャンピオン完成)。多いか少ないのかわからないが、少なくともラルフの犬質がアメリカのトップクラスのエアデールたちと比べても決して負けていないことを自分の目で確認できたことは大きな成果。また、世界を代表するトップハンドラーたちと同じリングに立ち、彼らの素晴らしいハンドリングに直接触れることができたのは私にとってとても大切な経験となった。またValeriaの自宅に泊まり込み、彼女のたくさんのノウハウをたくさん会得することもできた。これらの貴重な体験をこれからぜひ日本で生かしてゆきたいと思う。

最後の夜リビングでの記念撮影
(私、John、Valeria、Olivia、Drew)