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"Crufts 2003 " 杉本 武巳

サラリーマンの私にとって最も忙しいのが年度末の3月です。それで毎年行きそびれていたクラフト展に今年こそは何が何でも行くと決めていました。そんな訳ですから、そのスケジュールはとてもハードなものでした。3月の7日(金)に日本を発ち12日に帰国する4泊6日の旅でした。

Crufts! 世界最古で最大のドックショーであると言われるクラフト展は、ご承知の方も多いかと思います。毎年、3月の第一週にイギリスはバーミンガムで開催されます。今年は180犬種21,031頭のエントリーがありました。エアデールは90頭でした。ちなみにテリアグループで最も多かったのはスタフォードシャ・ブルテリアで304頭、ついでボーダーテリアの218頭でした。

3月7日15時少し過ぎに英国ヒースロー空港に到着。そのままメイプルの実家のジェイドルド犬舎に行き、そこでMartin、Alaine夫妻と娘のCheriの歓迎を受けました。ここを訪れるのはほぼ1年半年ぶりです。彼らの暖かい歓迎ぶりはその当時と全く変わりません。いや、ますます暖かみを増していたかもしれません。

その後ジェイドルド犬舎の一員として新しく加わったDanaを見せてもらいました。このDanaはメイプルの母親Eng.CH Jaidled Gypsy Girl(ロキシー)とJokyl犬舎のスーパードックEng.Am.It.CH Greenfield Capten Fantasticとの間に昨年生まれた子です。天真爛漫といった性格と骨格構成に優れた子で、ジェイドルド犬舎の秘蔵っ子といった感じでした。ただ残念ながら今のところとても彼女には手が回らないらしく、まだショーイングは当分先のようです。その後彼らと一緒に今日宿泊するホテルまで行き、そこで今回一緒にクラフト見物をするATCJ会員のTさんと合流し、そのまま近くのパブへ行き、夜遅くまで楽しく語り合いました。 

いよいよクラフト・テリアグループの開催の日です。8時頃にMartin、Alaine、Tさん、そして今日出陳するJaideld Gypsy Lady Luck(ラッキー)と一緒にバーミンガムの会場に到着しました。ラッキーは我が家のメイプルと同じ組み合わせで2回目の繁殖の際に生まれた子です。彼女はロングネック、ショートバックで、とても牝とは思えないしっかりした骨格を持ちまるでロキシー二世といった感じでした。

その日、最初の予想では、エアデールが始まるのは11時頃からという話でしたが、スタートが大幅に遅れ、実際に始まったのは1時すぎのことでした。そのおかげで幸か不幸か、私とTさんはこの間出陳者が集まるパドックにいて、Jaidled犬舎のMartin、Alaineはもちろん、隣り合わせだったStargus犬舎のLesley&Gus夫妻、Jokyl犬舎のMary Swash、Branded犬舎のDavid Brand、Karudon犬舎のRuth Millar、Cibrenin犬舎のCathy Swannack、Crillee犬舎のJane Turner、Dendaric犬舎のDenise Brown、そしてもちろんRobroyd犬舎のJanet&Tom夫妻など、多くの友人たちと再会を喜び、また彼らの犬たちに実際に触れて、最後の仕上げの様子までたっぷりと見ることが出来ました。もし仮に日本のショーでこのようにスタートが予定より何時間も遅れたら、出陳者たちはイライラのし通しでしょうが、彼らは実に鷹揚というか、これ幸いに日頃なかなか会えない友達たちとのおしゃべりを存分に楽しみます。それもワインを飲みながら。私などは、おしゃべりに夢中でちっとも準備を始めないJanetを見ていて心配で、代わりに自分で仕上げをしてやろうかと思ったくらいでした。

Jaidled Gypsy Lady Luck
StargusのLesleyとGalileo
Jaidledファミリー

さあ、そろそろエアデールの審査が始まる時間です。私とTさん、そしてAlaineはイスを確保するために少し早めにリンクに行きました。しかし、席は一向に空く様子がありません。途方に暮れていた矢先、私を呼ぶ声がイス席の方から聞こえました。そちらを見ると、エアデールテリア クラブ オブ アメリカの前会長のSuzanne HamptonとMarcy Zinglerの二人で、彼女らが確保していた予備のイスを一つ私に提供してくれました。幸い少し離れたところで、TさんとAlaineもイスを確保することが出来ました。
世界は実に狭いものです。私を挟んでSuzanneとMarcyの反対側の席に座っているご婦人たちの会話の中でレスキューの話が頻繁に出ていたので、少し声をかけてみたら、何とその方はアメリカオハイオ州の友人Nancyの友人Nan Hamiltonではありませんか。彼女はエアデールの陶器づくりではとても有名な方で、私の家にも一つ、Nancyからプレゼントされた彼女の作品があります。それからが大変です。ショーを片目で見ながら、Nan、Marcyらとレスキューの話やら、まだこんなにボストンは寒いとか、いつから来てこの後どこへ行くとか、そしてリンクの犬たちを見て、お互いどの
犬が良いとか、実に楽しいショー観戦となりました。
リンクの方では審査は順調に進み、いよいよ終盤に入ろうとしています。ベストドッグは大方の予想通り今年もJokyl犬舎のCaptain Fantasticでしたが、ベストビッチは接戦の様相で最終的にFlojo犬舎のFlojo Sentmental Friend に決定しました。Flojo犬舎のSue RuddpckはMartinやCathyらの友人で、我が家のメイプルとはかなり強い血縁関係のある犬舎です。

これが英国流のショーの楽しみ方でしょうか。ショーが終わってからがまた彼らの一つのお楽しみに時間のようです。お互いに持ち寄った食べ物やワインをテーブルの上に大きく広げ、気のあった仲間同士集まり、かなり遅がけのランチタイムの始まりです。ざっと見た感じ、グループは4つくらいあったでしょうか。私と岩橋さんは都合3カ所食べ歩き、JanetとTomと一緒に6時頃会場を出て彼らの家へ帰りました。

KARUDON犬舎のRuth Millar
Nan Hamiltonと共に
審査風景
StargusのGalileo
Jaideld Gypsy Lady Luck
Captain FantasticとSaredon Night Flame of Collcurr
 
Robroyd Xena Girl
BOB(Captain Fantastic)&
BOS(Flojo Sentmental Friend)
 

今日はエアデールではなくロシアン・ブラック・テリア・デー(RBT))です。世界32カ国の代表が集まるインターナショナル・ジュニアハンドリング・コンペティションで、Robroyd犬舎のRBTのRedがイタリア代表のAurora Lovisonのパートナーとして参加します。私とJanetとTomの3人は朝7時には家を出て、彼女の為に9時前までに会場に到着しなくてはなりません。昨夜は何時まで起きていたでしょうか。はっきり覚えていませんが1時は回っていたと思います。

前日と同様に割り当てられたパドックで11時から始まるコンペティションのためにTomはRedの準備を始めています。ジュニアとはいえAuroraのハンドリングは見事なものです。さすがヨーロッパジュニアチャンピオンだけのことはあります。行きがかり上、なぜか私は彼女の両親達と一緒に座ってイタリアの国旗を持って、彼女を応援することになりましたが、こんな経験は最初で最後でしょう。これと前後して私は広大な会場にところ狭しと並ぶグッヅ売り場やいろいろな催しを、一日ゆっくりと見て回ることができました。

この日も会場を出たのは6時近かったと思います。3人で彼らの家に戻り、この日仕事の都合で Huxley家に残ったTさんを含めて、また前夜と同様夜遅くまで楽しい時間を過すことができました。

この日は2晩お世話になったHuxley家と午前中に別れを告げ、Tさんの運転でSaredon犬舎に向かいました。日本でもおなじみのSaredon犬舎はスタッフォード地方の静かでとても素晴らしい環境の中にあります。私たちが着いたのは12時を少し回っていたと思います。 あいにくまだ先客の団体客がいましたが、JudithとDavid夫妻らの温かい歓迎を受けて、この間、別室で軽い食事をごちそうになりながら彼女らと雑談していました。

先客が帰ってからは、サレドン犬舎自慢の犬たちを色々と見せてもらいました。Saredon犬舎といえば毎年コンスタントにチャンピオンを生み出している犬舎として有名で、日本でもとても馴染みが深い犬舎です。
実際にその環境をこの目で見て、直接その犬たちに触れてみて、短い時間でしたがその理由の一端が分かったような気がしました。

今日の訪問先はJokyl犬舎です。Jokyl犬舎といえは古くは1986年のクラフトでベストインショーを獲得したCh. Ginger Xmas Carolや、近くは1996年のクラフトでR.ベストインショーの栄冠と、実に45のCCを獲得したCh.Jokyl This Is My Song。その他、Ch. Jokyl Gallipants、Ch. Jokyl Just As Smart等の名犬を始めとして、これまで数え切れないほどのチャンピオン犬を作出してきた英国NO1犬舎です。 
この日、午後にはヒースロー空港に戻らなくてはならなかった為、Jokyl犬舎へは朝一番の訪問になりました。早朝にもかかわらずオーナのMaryは笑顔で私たちを出迎えてくれました。彼女はすぐに私たちを犬舎に案内して、隅から隅まで見せてくれました。犬舎見学でとても印象的であったのが“清潔さ”でした。“広さ”に関してはある程度最初から予想していましたからそれほど驚かなかったのですが、どこを見てもとても綺麗で 、清潔感にあふれた犬舎と運動場は、彼女とエアデールの関係を見事に描き出していました。

実際、3年連続クラフトBOBのGreenfield CaptenFantasticは勿論、何頭かの自慢の犬たちを見せてくれましたが、その際に犬たちを見る彼女の眼差しや手つきを私は見逃しませんでした。その眼差しはとても優しく、まるで我が子を見るようなものでした。またパピーを扱う手はとても繊細で、実に愛情に溢れたものでした。恵まれた環境と充分な愛情と管理、そして系統立てた繁殖。だからこそJokyl犬舎が長期にわたって英国NO1犬舎の地位を守り続けることができたのではないかと思います。
 
休む時間もない位のスケジュールでしたが、その内容はギッシリと詰まったもので、これらの経験は一生忘れることはないでしょう。多くの友人達との再会、改めて感じるイギリスエアデール界の層の厚さ、恵まれた環境、犬たちに対する彼女・彼らの愛情と見事な扱い。。。。
最後になりますが、今回の旅行を通して大変お世話になりましたTさんに感謝申しあげます。

JOKYL犬舎の素晴らしい環境
Greenfield Capten Fantasticと共に
Mary Swash,David Brandとスタッフ